舌下免疫療法

2025.06.27 舌下免疫療法ブログ・症例実績

舌下免疫療法とは、舌の下にスギ花粉やダニの成分を少しずつ体内に入れることで、スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎に対する反応を緩和しながら、治していく新しい治療法です。

この治療は、従来はアレルゲン(アレルギー物質)を含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が主でしたが、治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。

現在、スギ花粉による花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が保険適応となっております。

治療は3~5年は継続する必要があり、正しく治療が行われると、スギ花粉症の場合は初めてのスギ花粉飛散シーズンから、ダニアレルギー性鼻炎の場合は治療を始めて数か月後から効果が期待され、年単位で継続することで最大の効果(およそ80%)が得られると考えられています。

ただし、すべての患者様に効果が期待できるわけではないことをご了承ください。 

対象年齢

スギ花粉
「シダキュア錠」は5歳以上の方が対象となります。

ダニ
「ミティキュア錠(鳥居薬品)」、「アシテア(塩野義製薬)」の2種類があり、いずれも5歳以上の方が対象となります。

※ご注意:薬を1分間舌下に含んだまま保持しなければいけないため、小児の場合、治療が可能かをまずは医師にご相談ください。高齢者の方も適応外ではありませんが、65歳以上の方は治療効果が弱まることが予想されます。

トリート&エクステンド法(間隔を調整しながら行う方法)

初期に集中的に注射を行い、病状が安定してきたら、注射の間隔を少しずつ延ばしていく治療法です。
たとえば最初は1か月ごとの注射から始めて、その後は4週→6週→8週…というように徐々に間隔を伸ばしていきます。再発や悪化がみられた場合には、間隔を短く戻して対応します。
この方法は、患者さん一人ひとりの病状に合わせて調整できるオーダーメイドの治療であり、視力を守りつつ、通院や注射の負担を軽減できる可能性があるのが大きなメリットです。
どちらが適しているか患者様の病状やライフスタイルに合わせて最適な方法をご提案いたします。

治療法

1日1回、舌の裏にお薬を1分間含んだあと飲み込みます。

治療期間

通院は、約1か月に1回、おおむねまず3年間行うのが基本です。だんだん症状が軽くなり効果のある方は5年以上続けることで、治療終了後も長期にわたり症状をおさえ、また症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ薬の使用量を減らすことが期待できます。

治療開始時期

・スギ花粉

新規で治療開始できるのは6月~12月です。スギ花粉が飛散する1月~5月末までは新規での治療開始は副作用の懸念から行えません。

・ダニアレルギー

一年中、いつでも始められます。

STEP.1事前検査・治療説明

治療を受けるためには、スギ花粉、ダニに対する事前検査が必要です。
検査を受けたことがない方は、当クリニックを受診の上、血液検査を行っていただきます。当クリニック以外で1年以内に検査を受けたことがある方は、その結果用紙を持参してください。
おおまかな治療の流れの説明と血液検査を受けて、この日は終了です(ただし、1年以内の血液IgE検査結果をお持ちの方は、当日に初回治療スタートが開始可能です:STEP.2をご参照ください)。

STEP.2初回投与日

血液検査結果と舌下免疫療法についての説明を受けたあと、最初の投薬はクリニックで医師および看護師の指導のもと、ご自身で行っていただきます(ただし、血液検査でスギやダニのIgE抗体が陽性でなかった方は対象となりません)。
投与した後は30分間、副反応などの様子をみるために待合室でお待ちいただきますので、初回投与日は時間に余裕のある日に来院してください。(午前は11時15分、午後は17時15分ごろまでにお越しください。)

STEP.3定期処方

経過観察とお薬の処方のため、1か月に1回、通院していただきます。

治療できない方

➀β阻害薬使用中の方
②妊娠中の方、授乳中の方、65歳以上の高齢者
③不安定な喘息を患われている方
④以下のご病気を患われている方(悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症、重い心臓の病気、肺の病気・コントロールの悪い高血圧症、慢性感染症)
⑤ステロイド薬・抗がん剤使用中の方

当クリニックで舌下免疫療法を受ける前にもう一度ご確認ください

  1. 鼻炎は本当にスギ花粉やダニが原因ですか?
  2. 1か月に1回の通院が必要です(治療開始直後だけは2週後)。
  3. 毎日舌下投与します。治療期間も3~5年と年単位です。
  4. 根気よく治療を継続できますか?
  5. すべての方が根治する治療でないことを理解していますか?
  6. スギ花粉症の方は、1月~5月には新たに治療を開始することはできません。